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ケーキの切れない非行少年たち   宮口幸治著より


・ストレス発散のために性非行
時間が経てばストレスは次第に減っていきますが、不快なことが続けばどんどんと
ストレスが溜まっていきます。するとそれを発散せねばなりません。
その発散方法を間違えれば、いきなりキレて暴力事件や傷害事件、性加害といった
犯罪を起こす、という結果につながりかねません。
とくに性非行を行う少年の中には、ストレスをいっぱい溜め込んでいるケースが
多い印象があります。
私の勤務していた医療少年院では、性非行少年がいつも多くの割合を占めていました。
そしてほぼ例外なく(95%ぐらいでしょうか)、彼らは小学校や中学校でイジメ被害に
遭っていました。イジメ被害で計り知れないストレスを溜め、そのストレス発散に
幼女への猥褻行為を繰り返していたというケースがほとんどでした。
イジメ被害は新たな被害者を生んでいたのです。

・「この子は自尊感情が低い」という紋切り型フレーズ
そもそも「自尊感情が低い」ことは問題なのか、ということです。我々大人はどうでしょう。
自尊感情は高いのでしょうか? 
自信がなかなか持てず、自尊感情が低くなってしまっている大人の方が多いのではないでしょうか。
だからと言って、ほとんどの人が社会で犯罪を行っている、不適応を起こしているわけでも
ありません。つまり、自尊感情が低くても社会人として何とか生活できているのです。
逆に自尊感情が高すぎると自己愛が強く、自己中のように見えてしまうかもしれません。
大人でもなかなか高く保てない自尊感情を子どもだけに「低いから問題だ」と言っている支援者は
矛盾しているのです。
問題なのは自尊感情が低いことではなく、自尊感情が実情と乖離していることにあります。
何もできないのにえらく自信を持っている。逆に何でもできるのに全然自信が持てない。
要は、等身大の自分を分かっていないことから問題が生じるのです。
無理にあげる必要もなく、低いままでもいい、ありのままの現実の自分を受け入れていく
強さが必要なのです。


・子どもへの社会面、学習面、身体面の三支援
現在の学校教育は国語、算数といった教科教育が主ですが、私的には社会性こそが教育の
最終目標の1つではないかと思っています。
IQが高くて勉強ができても、「これをやればどうなるか?」といったことが予想できない
子どもたちがいます。計画を立て実行して、間違いがあればフィードバックして修正する、
といった実行機能が低ければ、容易に間違った選択をします。
また感情コントロールが弱ければ、正常な判断ができなくなります。我々でもカッとなったら
判断を誤ったりします。勉強だけでなく、問題解決の力と感情コントロールといった社会面の
力がとても大切なのです。
しかし、残念なことに今の学校教育の中には体系的に社会面を教える仕組みがありません。
ただ、やはり勉強はできるに越したことはありません。勉強への挫折が非行化につながる
ケースもあります。それには学習の土台となる見る力、聞く力、想像する力をつける
必要があります。
さらに身体面への支援も欠かせません。身体的不器用さは周囲にばれてしまうので、子どもが
自信をなくしたり、いじめのきっかけになったりすることもあるからです。


・被虐待児童の治療にも
子どもが虐待を受けて将来心配なことは、大きく2つあります。1つは愛着障害、トラウマ反応
うつ病、パーソナリティ障害など、「心の病」になってしまうのではということです。
もう1つは乱暴行為、落ち着きのなさ、攻撃性、徘徊、家出などから反社会的行動につながって
しまうのではということです。法務総合研究所が2001年に全国の少年院在院者約2300名に
行った調査では、約半数の子どもに虐待の被害体験があったと報告されています。
つまり、虐待を受けると非行化するリスクがあるのです。



by ckdmhrbb | 2023-07-27 14:40 | 最近読んだ本より | Comments(0)
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1997年発足・子どものいじめを防止し命と安全を守る出前授業を実施しています。毎回のアンケート結果を公表します。


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