遠藤研一郎著より
・「いじめの多くは刑法上の犯罪にあたる行為だ」ということです。
軽く考えてはいけません。国家から刑罰が与えられる、れっきとした犯罪なのです。たとえば
*体操服をぼろぼろにしたりするのは、器物損壊罪(261条)
物を壊さなくても教科書にいたずら書きをする、かばんに泥を詰めるなど、
相手の持ち物を激しく汚したり、また上履きをどこかに隠したりする行為でも
同じ罪に問われます
*相手に暴力をふるえば、暴行罪(208条)になります。
髪をひっぱったり物を投げつけたりすることも暴行罪です。 暴力をふるった結果、
相手がケガをすれば、傷害罪(204条)というもっと重たい罪に問われます。
*多くの人が耳にする状況で、相手を「ウザイ」「キモイ」などと侮辱することを言うのは
侮辱罪(231条)に該当します。
ネット上で悪口や評判を落とすようなことを言いふらすことはもっと重たい
名誉棄損罪(230条)に問われることもあります。
*「先生にチクっただろ。殺す」などと言って相手を怖がらせれば、脅迫罪(222条)です。
虫を食べるように強要するなど、相手が嫌がっているのに、それをむりやりさせることは
強要罪(223条)です。カツアゲなど、脅してお金をむりやり出させるのは恐喝罪(249条)ですし
脅かす程度が強ければ、より重たい強盗罪(236条)になります。
*無理やり裸にさせるのは、いやらしい感情がなくても、強制わいせつ罪(176条)
<現在では不同意わいせつ罪>です。
・いじめは、いじめた子(加害者)といじめられた子(被害者)という「二者の対立関係」だけだと
考えてはいけません。どういうことでしょうか?
周囲で、はやし立てたりおもしろがっていた生徒はどうですか?その生徒は加害者ではないですか?
確かに直接的に関与していません。しかし、いじめを肯定的にとらえている「観衆」ということが
できます。
また、見て見ぬふりをしている生徒も、私たちは無関係だと言い切れますか?いじめを否定しない
「傍観者」は、場合によっては、いじめをやめさせようと思っている生徒に対して無言の圧力を
かける存在になっていることも少なくありません。観衆だけではなく、傍観者ですら、いじめに
加担しているのと同じだという考えもあります。
・「いじめられる側にも原因が」?
いじめられる側にも落ち度があるからいじめが起こるということは、絶対にありません。
というよりも、そのように考えてはいけないと思います。その子がいじめられる原因は
なんでしょうか?少し変わったところがあるから?性格が悪いから?何かが劣っているから?
でも、考えてください。完璧な人など、どこにもいません。私も含めて、みんな少しずつ
変わったところを持っているし、至らないところ、不得意な分野があります。
「あいつは○○だから、いじめられてもしょうがない」というのは、自分を、そしていじめを
正当化するための道具(言い訳)にしかすぎません。