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ヒトは「いじめ」をやめられない 中野信子より その3

3.ドーパミン
 サンクションというのは、制裁と訳しますが、もっと平たく言うと攻撃のことです。
 攻撃をすれば仕返しをされる、つまりリベンジの恐れがあります。
 また自分の仕事をほったらかしにしてサンクションの行動をとるわけですから
 自分のリソースのことだけを考えたら、本来は損な行動です。

 ですから、考えてみると制裁行動と言うものは、利もなく、全く合理的ではない行動です。
 それにもかかわらず、なぜサンクションを行うのでしょうか?

 その恐ろしくも、驚くべき答えが、制裁行動に「快感」を感じるからなのです。
 この快感は、理性では把握しきれないものかもしれません。
 むしろ、自動的に起こる感情プロセスに基づいたものと捉えた方がよいでしょう。

 例えば、相手を攻撃することは、通常はあまり良くないことだと理性的には知っているわけです。
 ところが一方で、人間の脳は、その理性的なブレーキを上回るほど
 攻撃することによる「快感」を感じるようにプログラムされていると考えられます。

 私たちの脳が快感を感じるのは「快楽物質」と呼ばれる、ドーパミンの働きによるものです。
 実際に、オーバーサンクションが発動する時の脳では、ドーパミンが放出され、
 喜び=快感を感じることが分かっています。

 所属集団=種を守るために、ルールに従わないものに罰を与えるという「正義」をもって
 制裁を加えるため、そこには正義達成欲求や、それによる所属集団からの
 承認欲求が満たされます。

 ネットの炎上が分かりやすい例でしょう。誰かが少しでもポリティカル・コレクトネスから
 逸脱したと見なされると、みんなで寄ってたかって叩きに行く、それがSNSなどの炎上です。

 ドーパミンが1度出始めると、理性のブレーキがなかなか利かないという身近な例です。
 理性と攻撃したいという欲求が戦った場合に、その理性の部分が、攻撃の欲求を抑えるどころか
 より高める方向に働くのです。これは悪いことではなく、むしろ正しいことなのだという
 意識が働いてしまうので、止める機構が存在しなくなってしまうのです。

 「正義」の傘の下、いじめている側をどんなに諭そうとしても、そこには
 「自分は正義を行っている」という無意識的な大きな満足があります。
 あるいは正義を行う快感に中毒になっているので、止めることはかなり困難です。




 


by ckdmhrbb | 2021-01-11 10:23 | 最近読んだ本より | Comments(0)
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1997年発足・子どものいじめを防止し命と安全を守る出前授業を実施しています。毎回のアンケート結果を公表します。


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