2.セロトニン
オーバーサンクションが起きる時には、まず逸脱者の特定が必要になりますから
その前段階として、逸脱者を見つける―検知するプロセスが必要になります。
集団の構成員として、他のメンバーを眺めながら、
「この人は将来的にズルをするかもしれない」
「もしかすると、この人は集団からはみ出しているのではないか」といった
逸脱者を見つけ出そうとする、検知する脳のプロセスを「裏切者検出モジュール」と呼んでいます。
この裏切者検出モジュールの強弱は人によって違いがあり、日本人の場合、
他の国の人よりも強い傾向にあることが分かっています。
従って、日本人は逸脱者や逸脱候補者を見つけがちな国民性があり、
その点でサンクションが発生しやすいと言えます。
国によって、こうした傾向の違いが生じるのは「セロトニン」という
脳内物質が関わっていると考えられます。
セロトニンは「安心ホルモン」とも呼ばれ、セロトニンが多く分泌されていると
リラックスしたり、満ち足りた気持ちになり、セロトニンが少ないと、
不安を感じやすくなると言われています。
世界29か国の遺伝子調査から。日本人は先々のリスクを予想し、
そのリスクを回避しようとする「慎重な人・心配性な人」、
さらに他人の意見や集団の空気に合わせて行動しようとする「空気を読む人」が
多くなる傾向があると考えることができます。