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ヒトは「いじめ」をやめられない 中野信子より その1

*本書は、いじめが起こるメカニズムについて脳科学的観点から解説します。
 脳の性質やいじめという行動について科学的理解が深まることで
 より有効なアプローチを切り出すことができ
 1人でも多くの人に救いや展望が生まれることを願っています。

1.オキシトシン
 人間は共同体を作るという戦略に頼って生き延びてきた生物種です。
 そのため自分たちの共同体に、共同体を破壊する可能性がある人が存在すると
 その人に対して、制裁行動=サンクションが発生します。
 これは共同体を守り、維持するための重要な機能の1つで
 「向社会性」が高い共同体ほどサンクションが起こりやすいと述べました。

 オキシトシンは、その性質から「愛情ホルモン」とも呼ばれ
 脳に愛情を感じさせたり、親近感を感じさせる、いわば人間関係を作るホルモンです。
 オキシトシンが分泌されると、相手への親近感や信頼感、安心感が生まれ、
 そして、心理的、精神的なストレスも緩和されます。

 しかし、共同体作りに欠かせない側面がある一方で、
 オキシトシンが仲間意識を高めすぎてしまうと、「妬み」や「排外感情」も
 同時に高めてしまうという、負の側面も持った物質であることも分かっています。

 別の言い方をすれば、オキシトシン自体は良いものでも悪いものでもなく
 仲間を作るために必要だから分泌されるのです。
 仲間を大切にしようという気持ちと、そのために良い仲間を作ろう、
 良い仲間を選別しようという気持ちは表裏であり、
 後者が強くなることでサンクション=いじめが発生しやすくなるのです。


by ckdmhrbb | 2021-01-09 11:14 | 最近読んだ本より | Comments(0)
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1997年発足・子どものいじめを防止し命と安全を守る出前授業を実施しています。毎回のアンケート結果を公表します。


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