いじめを生む教室 荻上チキ その5
2013年いじめ防止対策推進法が施行されました。
日本でいじめが社会問題になってから30年以上の時間が経ち
ようやく制定されたいじめ対策の基本法です。
きっかけは滋賀県大津市で起きた中学生の自殺事件でした
・第1条
「児童の尊厳を保持するため」に
「いじめの防止、早期発見及びいじめへの対処」を
「総合的かつ効果的に推進する」ことがいじめ防止法の目的である
・第2条
いじめに当たるか否かの判断は
「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているか」否か
すなわち、原則として、いじめられた児童の立場に立って
行うことが明記されています
第7条、8条
「学校の設置者≒国や学校法人」に
いじめ防止のための必要な措置、具体的には相談体制や
行動計画の作成を行う責務を定めた上で「学校及び学校の教職員」が
「保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携」を
行いながら、「適切、かつ迅速にこれに対処する責務を有する」と
記されています。これは要するに、担任1人でいじめ問題を
抱え込んではいけないということです。
第22条
「いじめの防止等の対策のための組織」を
作ることが求められています。すなわち
「当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実行的に行う」ため
いじめ問題に特化した常設の組織を学校内に作らなくてはいけないのです
この組織の条件として「学校の複数の教員」とは別に
「専門的な知識を有する者その他の関係者」をメンバーとすることが
求められています。ただ生徒指導の先生たちがそのまま横滑りして
「いじめ対策チーム」と名乗ればいいというようなものではありません。
法律や発達心理など、様々な分野の専門家のコミットが求められているのです
第23条、24条
いじめと向き合う際の細かな動きが記されています。
学校や教員は、相談を受けた段階で調査を行いつつ
情報を共有する必要があります。「いじめの事実があると思われるとき」
とあるように、事実認定を行う手前の段階から、情報共有を行う必要があるのです
第25条
いじめを行っている児童等に懲戒を加えうることが明示されました。
第26条
ただし、「懲戒」「出席停止制度の適切な運用」については
従来の法律解釈に基づいたうえでの対応が必要となります。
・・・・・せっかくいじめに関する法律ができても、何が書いてあるのかを
私たちが知らなければ、「絵にかいた餅」になります。
法律は自分のこととして考えることが大切ですね・・・・・・