ストレッサー説
では、いじめが多い教室とはどんな教室なのでしょうか
いじめの議論の中で主要な理論の1つに「ストレッサー説」というものがあります
これは児童・生徒が感じたストレスを発散する際
学校空間ではその発散の仕方が限られてしまっているがゆえに
非行や不登校、いじめといった逸脱行為が発生するのだという説です
これについては、第3章で見た大津市のストレスといじめの調査からも
追認されます
(ちなみに、国立教育政策研究所の調査では、特に「競争的価値観」
「友人ストレッサー」「不機嫌怒りストレス」といじめの加害に
強い相関があることが指摘されています)
学校の教室というのは、他人に時間を管理されている環境なので
自分好みのストレス発散がなかなかできません
一方でいじめというのは「それなりにおもしろいゲームなので
そういう形でストレスが発露してしまうのです
しかしいじめは、「なによりもおもしろいゲーム」ではありません
もしもいじめが絶対的におもしろいものであるならば
どれだけ対策をしようともなくすのは不可能と言えるでしょう
しかし、いじめという形でストレスを発散していた人が、別の発散方法を
手に入れると、いじめをしなくてもすむようになることがわかっています
問題は、学校では「クラスから離脱する」ことも「ゲームやスマホなどを持ち込み
ストレス発散する」ことも禁じられていることです
日本軍人の手記などを読むと、戦時下においては大人同士でもいじめが
頻発していたことが分かります。
固定化された組織の中で、ストレスの発散手段が非常に限られており
いじめという形で発散するしかなかったという点で
教室ストレスと似た側面があります
いじめが起こりにくい環境にするためには、そうしたストレス要因を
取り除くと同時に、より多くの児童が持つそれぞれの特性に対して
寛容で、自由度の高い教室を作っていくことが重要なのです